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2019.06.19

インタビュー: 藍を育て、染める。藍の糸レポート vol.3

藍に染める。

5月下旬、某日。
梅雨に入る前のお天気の良い日、今年も藍の糸染に行ってきました。昨年に引き続き、京都大原の天然染工房のカズコさんとノリさん、だんなさんにもご参加いただいて、入れ替わり立ち替わり総勢7人での染作業です。

今年の染めた糸は、夏の定番「ラミー」と「抄繊糸ビス」。どちらもさらっとしていて、軽さがあり、これからの季節に織ったり、編んだりするのに良い糸です。

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乾燥葉で染める。

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この時期の工房の藍染は、乾燥葉を使います。昨年収穫した藍の葉を乾燥させて、次の年の生葉の季節、夏頃まで大切に使います。

今回のテーマも、昨年の生葉染と同じ「透明感のある爽やかな青」と「深い海のような青」。
今回は乾燥葉で染めるので、同じテーマでどんな違いがでるか実験です。
「ラミー」は、素材の光沢はそのままに、昨年の生葉染ラミーと比べると濃い色ほど少し渋めのくすみ感が出てきました。
「抄繊糸ビス」は、初挑戦の糸。マニラ麻を使って作られた和紙という紙素材の性質からか、色濃く染め上っています。

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最初の染めはとても薄くほんのり緑色をしています。

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一回目の染めの後、干して酸化させると、みるみる青みを帯びてきます。

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8回目となると、だいぶ藍の濃さが出てきました。

染めて、干して、また染めて。

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藍染は熱を使わない染め方をします。
時間を決めて染樽の中に糸を浸けては干す、これを何回も繰り返します。染料を吸収させた後、ぎゅっと強く絞って、空気に触れさせて酸化させることで、発色して色が定着していきます。
染めに行った日はとても良いお天気だったので、少し乾燥した具合の染め具合も確認しながら、最終の色調整をしていきました。

染め上った後は、ぬるま湯で洗って灰汁抜きをします。このひと手間を行うことで、余分なくすみの取れた藍本来の色が出てきます。
そして最後の作業は「寝かし」。皆さんにお届けするまでの間、日光の入らない場所でじっくり寝かせます。この「寝かし」が大事とカズコさんは話します。「寝かすことで色が落ち着いて、藍の元々の色がもっと出てくるねん」と。
今回は約1ヶ月寝かしています。皆さんのお手元に届いたら、もう少し寝かしてみても良いかもしれません。

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どちらの糸も、濃色と薄色に染め分けています。

藍畑のお世話。

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染めの合間にちょっと息抜き。
工房の前の畑に行くと、今年の藍葉たちが育っていました。まだまだ小さな大きさでしたが、カズコさん、ノリさんが毎日大切にお世話していて、工房お手製の有機肥料で、これからぐんぐん育っていきます。

アヴリルスタッフは、藍葉が良く育つよう、草引きのお手伝いです。小さな草も見逃さず黙々と抜いていきます。途中、藍葉の天敵、ゾウムシと遭遇しますが、殺生のできないアヴリルスタッフ。畑から離れた川岸に移動してもらいました。

カズコさんの藍畑の藍たちは、秘密の天然肥料で育ちます。
ある時、たまたま葱畑にとあるものを捨てたら、万能葱が信じられない大きさに育ったそうです。それをヒントに藍葉にも使ったところ、藍の質も格段に良くなって、それ以来、カズコさんの藍には欠かせない秘密の肥料になったそうです。
カズコさん自身は秘密になんてしていませんが、ここでは秘密のスパイス的な雰囲気に留めておきますね。

 

次は何で染めようか?

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藍畑の隣にはマリーゴールドが咲いていて、蕾もたわわに実っていました。
カズコさん曰く、マリーゴールドは鮮やかなんだけど優しい黄色に染め上るそうです。この日も、ちょうど良いサイズに咲いた花の部分だけを切り取って、乾燥中でした。蜜を狙う蝶々を追い払うよう、白柴サラちゃんが見張り番です。
カズコさんとアヴリルの社長、次はマリーゴールド染めをしよう!と次の企画に盛り上がります。

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